「聖書の時代と風物」

6章  らくだと針の穴

8章  ゲッセマネ:オリーブ圧さく機
第7章

「雨漏りといさかい好きな女」

「降りしきる雨の日にしたたり続けるしずくと、いさかい好きな妻は似ている。」(箴言27:15)。ソロモンのこの言葉は、英知を含んでいます。

人には、英知と愚かさという2面性があります。聖書は、ソロモンの愚かさの一面を表わしていますが、彼の英知の幾分かは、実際の生活上の愚かさから学んだのかも知れません。ソロモンが著した箴言は、ソロモンがさまざまな体験を通して得た知識による英知を記しています。(伝道の書1:16,17)。 同じくこの箴言は、彼の人生の後半における王としての愚かさの体験を明らかにします。箴言は、彼自身の人生経験を通して、若い人々への、多くの厳粛かつ強い警告を含んでいます。(箴言 1:10-20、5:1-23、6:23-28、7:6-27、9:14-18、22:14) 箴言は、ソロモンが罪深い愚かな罪を後悔したことと、神との義と交わりの人生に復帰したということを示しています。「降りしきる雨の日にしたたり続けるしずくと、いさかい好きな妻は似ている」との言葉は、多くの妻たちとの関係から学んだ苦い体験を証明しています。彼の家庭には、嫉妬、いさかい、苦い争いによる大惨事がありました。

ソロモンの語るこの言葉の意味は何でしょう。
この地域における家の設計は、ソロモンの時代以来ほとんど変っていません。それらは家の屋根は厚い泥土で、乾燥した後で、表面は防水用の、白色の石灰やしっくいで厚く上塗りされています。重い屋根の重量に耐えるために、家のたる木や梁は、緻密に置かれた耐久性の材木で作られます。 このたる木の上には、土の落下を防ぐものが敷かれます。その上に、重い湿った土が、18から20インチの厚さに固く層状に詰めて置かれます。

この家屋の建設方法は、熱い季節には冷たく、更に冷たい天候では暖かく室内を保つことができるのです。屋根の上の一番上のしっくいの状態が良好に保たれなければなりません。しっくいが痛むと表面のひびが大きくなり、そして雨の激しい日に、割れが下の土の部分まで達するのです。そして長期の雨の後には天井から水がしたたり始めるのです。そして雨漏りは、雨が止んだ後もかなり長く続くのです。雨漏りが始まると、居住者には同情せざるを得ません。特に嵐の後では、数時間も、時には数日間も続くのです。そして、いったん、泥全体に水が浸透した状態になると、雨漏りを止めるための手段はもはや何もありません。

ソロモンは、ちょうどそのような屋根の下の生活をしたのです。彼は、大勢のいさかい好きの妻たちと一緒に生活し、同様にその煩わしい経験をしたのでした。ある女性たちは、ほんの一時的な嵐の出来事でも、その後、何日間も夫や家族に対して気まぐれな苦々しい態度をとり続けるのです。ピーター・レインジが譬えたような「暴風雨」が終わったとき、すべてが終わるべきですが、しかし、いさかい好きな女性に関しては、終わりはないのです。

どんな家庭にも時折、あらしのような時があるでしょう。しかし、真のクリスチャン女性は爆発が終わるとすぐ、完全に乾いてしまうのです。しかし、この東洋の屋根の「際限のない雨漏り」のような妻を持つ人には、同情すべきでしょう。彼は、本当の試練のために家にいるようなものです。箴言27:16は、「その女を制する者は、風を制し、右手に油をつかむことができる」と言っています。これは、明らかに不機嫌な女性を制したり、彼女の欠陥を覆い隠そうとする人は、だれでも風を制し、手に塗られた油の香りを隠そうとするようなものです。興奮が静まった後でも、どうしていさかい続けるべきでしょうか。何故、何時間も、何日も「雨漏り」が続くのでしょう。何故、一時的なあらしの口げんかで、自分も家族も惨めな生活をしなければならないのでしょう

信心深い親切、本物の愛の家庭は、教会のとりで、国家の要塞です。特に母や妻は、家庭を愉快にしたり、惨めにする重要な役割を演じます。箴言の記者は、たくさんの論争好きな、不満を持った女性を通して、「愚かな息子は父の災い。妻のいさかい」、論争、短気は「したたり続ける雨漏り」と、妻の特性の重大性を指摘しています(19:13)。
どしゃぶりの後に続く泥屋根の長期の雨漏りを「争い好きでうるさい女といるよりは、荒野に住む方がまだましだ」(21:19)。「争い好きな女と社交場にいるよりは、屋根の片隅に住むほうがよい」(25:24)と、言っています。

さて、しかし新約聖書からのすばらしい引用なしにこの章を終えることはできません。
「妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。夫たちよ。キリストが教会を愛し、教会のためにご自身をささげられたように、あなたがたも、自分の妻を愛しなさい。そのように、夫も自分の妻を自分のからだのように愛さなければなりません。自分の妻を愛する者は自分を愛しているのです。それゆえ、人はその父と母を離れ、妻と結ばれ、ふたりは一心同体となる。あなたがたも、おのおの自分の妻を自分と同様に愛しなさい。妻もまた自分の夫を敬いなさい。(エペソ5:22,25,28,31,33)

夫と妻が共にいる家庭の真実の愛は、また神への愛であり相互に対する愛であって、家族全体を幸福にする秘けつなのです。

 

 

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