ロバ

ロバ(注)が１５０回以上聖書で言及されます。

この事実はそれが聖書の時代に聖書の地域でどれぐらい普通であったかを示します。
他の動物では同じようには言及されません。
我々が聖書の時代の生活の中での、その本当の位置付けについてさらに多くを知るとき、通常この動物に関して今日に引き出された帰結的意味は欠陥があるように思われます。
当時、ロバは格の低い獣として見られませんでした。そして人がロバに乗ることは、謙虚さあるいは屈辱を示しませんでした。それどころか「白いロバ」に乗ることは敬意と威厳（士師記　5：10 ；１２：１４）の明確なサインでした。ロバを所有した人たちは共同体では高い社会的な地位を持っていました。

聖書で描写されるアブラハムが重要です。「非常に多くの家畜や金銀を持っていた」（創世記１３：２）。神からモリヤの山の上でイサクを犠牲にするように命令されたとき、「朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き」（２２：３）と、あります。
イスラエルの士師の一人について読みました。「ギレアド人ヤイルが．．．．、二十二年間、士師としてイスラエルを裁いた。」そして「彼には三十人の息子があった。彼らは三十頭のろばに乗り、三十の町を持っていた。」（士師記10：3，４）。
これらの男性たちはその時その地域で最も高い支配者たちでした。
勇者カレブの娘アクサは、父親にお祝いを（士師記 1：14）を求めるよう話をもちかけたとき、彼女はロバに乗っていました。
裕福なナバル（第１サムエル２５：２３）の妻、アビゲイルもそうしました。

人が所有したロバの数は、しばしば彼の富の計りとなりました。
例えば，ヨブは非常に裕福な男でした。「羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭の財産があり、使用人も非常に多かった。」（ヨブ記１：３）。
聖書はミディアン人に対する勝利の時にイスラエルの兵士たちが６１，０００頭のロバ（民数記31：32−34）を捕えたことを記録します。

鞍を置く動物として，ロバは見たところでは通常の穏やかな旅行のために役人や著名な男性たちによって好まれました。馬は戦争の乗用馬と見なされて、国内や社会の生活ではめったに使われませんでした。ロバは、でこぼこの小道でいっそう足元が確かですから、乗用にも荷を運ぶことに対しても、自然でより良いです。

ロバに関連した１つの特別な事件が聖書読者の心に届くでしょう。
それはエルサレム市（マタイ21：1−11）へのイエス様の勝利の入城です。
この王の旅行がロバに乗って行われることは、ゼカリヤが、「あなたの王が来る．．．。彼は、ろばに乗って来る。雌ろばの子であるろばに乗って。」（ゼカリヤ書9：9）と何年も前に 預言しました。
イエス様がその時に若いロバに乗ることは大きい屈辱と身分の低さを意味したと一般に思われます。しかしもし、このイメージが人々の心にあったなら、彼らはイエス様を王と呼んで歓呼して迎えて、そして 、「ダビデの子にホサナ。いと高きところにホサナ。」（マタイ 21：9）と大声で叫んだでしょうか？

ゼカリヤの預言で「卑しい」の言葉は、ただ「柔和さ」を示しました。
それは救世主のミッションが復讐と裁きというより、むしろ平和であることを示しました。マタイがゼカリヤの預言を引用することにおいて、単語の「卑しい」を「柔和」と解釈したことで、このことばは、「穏やかな 、従順な、優しいかあるいは穏健」ということを意味します。預言者はまた来るべき王が公正で、彼が救いをもたらすであろうと述べました。ロバをシンボルとして使ってイエス様は人々に、彼らの大部分が希望し切望したローマに対する反乱と暴動を煽動するために来たのではないことを伝えました。その代わりに彼はすでに、ひとの魂への平和のミッションに訪れていました。

馬が通常、戦争を象徴したのに対して、ロバは平穏と平和を表しました。
これはソロモンの統治の時代以降から特に事実でした。
ロバをたくさん使用した経験者は、ロバが特別に頑固で愚かな動物ではないばかりか、概してそれがなかなか従順で賢明な、そして信頼できる動物であることを認めるでしょう。

ある晩北アフリカで、私は、夜の間、家畜の小さい群れを彼のテントに連れて来ていたアラブの羊飼いと一緒に歩きました。私は彼に「誰がこれらの動物を作りましたか？」と、質問しました。せっかちなイスラムの返答は、「アラー［神］がした」でした。
「アラーはなぜ、それらを作りましたか？」私は尋ねました。羊飼いは直ちに、「神が、人間に仕えさせるためにそれらを作りました」と答えました。
「私は、あなたと同じ意見です」と私は言いました。「私も、神がこれらの生きものを、人間に仕えるために造られたと思います。そしてそれらは、すべてそのようにしています。それらは、神がそのように 意図されたことを、しています。それらはその存在のために、神の意志を満たしています。 しかし、今、私にもう１つの質問をさせてください。神はなぜ人間を創造しましたか？」

羊飼いは当惑して、そして不確かに見えました。
若干のためらいの後に、彼はどちらかと言うとゆっくりと「私は知りません」と言いました。「では、私に話をさせてください。神は、生きている聖なる命（人間）によって神に名誉と栄光を与えるために、人間を創造しました。そしてまた現在も未来永遠に神と一緒に交わりを楽しむためです。」
深い厳粛さで羊飼いは返事しました、「先生、私はあなたが正しいと信じます。それが神が人間を作った理由であるに違いありません。」
「人間はこれをしていますか？」は、私の次の質問でした。
「いいえ」と返答が来ました。「人間は、その生活で神に名誉を与えていません。彼らは神の神聖な意志と正反対に多くの悪いことをしています。」
「あなたはどうですか？」、私はあえて質問しました。
「いいえ」と彼は認めました。
「私は、私の生涯で神に名誉を与えず、あるいは喜ばせてもいません。みんなと同じように、私はサタンの道に従っています。」

私はそこで言いました。「神が創造された最も気高い被造物− 人間 − 以外のすべての被造物だけが神の意志を行うことは悲しくありませんか？ 我々は小型のロバたちさえ、そのために神の意志を満たしているということに同意しました！

それでも、神の最も気高い被造物、人間は、神に反抗して、従うことを拒否しています。」
　

注）両方のロバが記述されている
　　ass　　《ロバ》
　　donkey 《家畜としてのロバ》