異常な動物たち

聖書の中で、非常に多くの動物が名前をつけられ確認されています。
これらのほかに、我々が明確に確認することができないものと、わずかしか知らないものが少しあります。これらのいくらかはかなり言及されますが、他のものはめったにありません。聖書の地域の直接の知識でさえ、これらの生きものについての疑問を解明することができません。それらはかつてその世界でたくさんいたかもしれません、しかしもはや見いだすことはできません。

聖書の動物に用いられた１つの異常な名前が「非常に大きな物（ベヘモット）」です。主はご自身の偉大な力と、主権について族長ヨブに告げて言いました。「見よ、ベヘモットを。お前を造ったわたしはこの獣をも造った。これは牛のように草を食べる。 見よ、腰の力と腹筋の勢いを。尾は杉の枝のようにたわみ。骨は青銅の管、骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたようだ。彼がそてつの木の下や、浅瀬の葦の茂みに伏せると・・・。
そてつの影は彼を覆い・・・。 川が押し流そうとしても、彼は動じない。ヨルダンが口に流れ込んでも、ひるまない．．．。罠にかけてその鼻を貫きうるものがあろうか。」（ヨブ40：15−18 ，２１ − ２４）
「ベヘモット（非常に大きな物）」の名前はヘブライの単語 behemah から今は一般的に使われていますが、この言葉はただ単に「獣」という以外に他の特定の動物を示しません。 それ故に我々には、ヨブ記４０章で記述されたものが、正確に何の動物を意味するかを決定することが残っています。

多くの聖書辞書とコメンタリーが、ベヘモットをカバであるとしています。
これの主要な議論は、ヨブ記で、大きい重量と大きい強さとともに、川と水を好む動物であるとほのめかされるからです。
私自身の意見は、聖書のベヘモットが象であったということです。
ヨブ記は尾に特別な言及（１７節）をします。
象はカバよりずっと大きい尾を持っています。この記述にそのほうがもっと良く適しています。聖書での象牙の言及が繰り返されたことは、象の存在と象狩りの実行を示します。ソロモンは象牙の塊と金（第１列王記１０：１８； 第２歴代誌９：１７）を使って大きいエルサレムの神殿に彼の王座を作りました。エゼキエル書で「象牙色の角」が参照されます。私はそれが象（エゼキエル 27：15）のきばを意味すると感じます。
我々はアラブ人（イシュマエル人）が、多分早くてヨセフの時代以前に、少なくともキリストの時代のずっと前に、大規模な象牙の取引をしたことを知っています。
ヨブ記で与えられる記述で、非常に大きい強さのベヘモットが参照されていますが、カバより象に、より良く適しているように思われます。上手に罠を突き抜けている鼻に対する言及は、時々捕獲のために使われた大きい網で捕えられたとき、象の鼻の動きを記述しています。

「一角獣」の単語は、ラテン語が起源です。文字通りの意味は「一つの角」で、それは自然に存在する生き物を示しています。古代の神話でこのような動物が思い描かれています。馬のような頭を持っていて、足は雄鹿の後ろ足、ライオンの尾を持ち、額の中央から一つのもったいぶった角が、突き出ています。
しかしながら、聖書のキング・ジェームズバージョンでは、見いだされる単語は「一角獣」です。ほかの場合に、ヘブライの単語 reem 、が「野生の雄牛」と翻訳されます。
reem はまったく、一つの角がある獣を意味しません。どちらかと言うと、それは今「野生の雄牛」として知られている動物を示します。専門的に「オーロクス 」として知られている生きものは、ヨーロッパとパレスチナ両方でかつては豊富でした。
例外的に強力で、どん欲な大食漢で、肩の高さ６フィートの巨大な動物でした。
この動物は、旧約聖書の地域の人々によく知られていました、しかしそれは飼い馴らすことができず、農業のために使うことは不可能でした。

旧約聖書で「レビヤタン（巨大な物）」と名付けられた生き物は、４つの箇所で言及されています。 ヨブ記 41：1 詩編 74：14 ；１０４：２６；イザヤ 27：1 。
それぞれの例で、単純な名詞というより固有名詞の種類として用いられ、冠詞なしで、単語は使われます。これは言及された動物が旧約聖書の時代の人々の考えの中では、大きな位置を占めていたことを示すでしょう。
「レビヤタン」は、彼らには一種の身近な言葉であったかもしれません。
ヘブライの単語 livyathan は巨大な水棲動物を意味します。ヨブ記４１章は、レビヤタンが水に居住したことを示します。「なんじは鉤（フック）でレビヤタンを引き上げることができるか？」（１節）（この部分の訳は、新共同訳聖書にはない）。 詩編１０４篇では、船が行き交うのと同じようにレビヤタンが描写されます、さらに水の生き物と示しています。一緒に「レビヤタン」に言及される４節で与えられた手がかりは、この生きものがワニであったことを示唆します。

「コニーConies」は旧約聖書で４回、参照されます。（レビ記 11：5 ； 申命記 14：7 ； 詩編104：18 そして箴言 30：26）。 これらの節は コニー が食べ物を反芻して、そして岩地に居住し、小さい動物であったことを示します。
申命記14：7 で、確かに特定の点で似ていますが、けれども、コニーはうさぎとは異なって描写されます。うさぎと異なり、それは尾はなく、短い足と耳を持っていました。
種々の点で、これらの小さい動物は合衆国中西部のプレーリードッグと比較されるかもしれません。しかし、彼らとは非常に異なった足を持っていました。コニーの足は「ごく小さい，しかし、象の足」であると描写されました。そのためにコニーが「象の小さい、いとこ」と呼ばれました。しかしながら、このような記述は非常に紛らわしいので、私は注意してそれらを引用します。

コニーは、小心ですが、極めて活発な小さい動物で、岩だらけの土地、特に岩だらけの小山あるいは丘に住まいを作りました。コニーは厳密な菜食主義者でした。
確かにそのあごの動きが反芻に似ていますが、コニーは反芻する動物が通常持つ種類の消化管を持っていませんでした。それで本当にその中に分類されるべきではありません。ソロモンは、コニーの「一族は強大ではないが、その住みかを岩壁に構えている。」と、賢明な、そして実際的なレッスンを引き出しました。（箴言 30：26）。精神的な領域で、マタイ７：２４、２５におけるイエス様の言葉を思い出させます。「そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている」

「ハートhart」（アカシカ） は、今シリアとアフリカとヨーロッパの一部で見いだされる小さい赤い鹿のような、少ない種の鹿でした。それはアメリカの鹿に類似していましたが、ずっとより小さかったです。「ハート」の名前は、通常それが５歳に達した後の雄に用いられました。またそれはアメリカの鹿のように毎年はがれ落ちていた６つに別れた枝のある角を持っていました。雌のハートの、特に後ろ足の肉は中東に住んでいた人たちの間で大いに高く評価されました。

「そのとき、歩けなかった人が鹿のように躍り上がる。口の利けなかった人が喜び歌う。荒れ野に水が湧きいで、荒れ地に川が流れる。」（イザヤ35：6）。この比喩は、この小さな動物が長いジャンプを成功させることから、駿足と跳躍力を持っていること示します。詩編著者の記述の、「わたしの足を鹿のように速くし、高い所に立たせ」（詩編18：33又は３４）は、ハバクク３：１９と同じ考えを立証します。ハートに対する最も顕著な言及は詩編 42：1 ，２（又は２、３）です：「涸れた谷に鹿が水を求めるように、神よ、わたしの魂はあなたを求める。神に、命の神に、わたしの魂は渇く」。
ハートは小さい動物ですが、それは大変な量の水を必要としました。
それが常に求めた２つのことは、良い牧草地と、毎日何度も飲むことができた新鮮な水の小川でした。ハートからの我々のための２つの精神的なレッスンは、神が、我々のたえまのない精神的な渇きを満足させること、そして神の意志を行うために我々の足を速くすることができるということです。

「竜」。聖書のキング・ジェームズバージョンに単数形と複数形の「竜」の単語の事象が３５あります。旧約聖書のへブル書で、長い大蛇のような生きものを意味します。いくつかの場合には少なくとも、エレミヤ５１：３４での言及では、それはおそらくワニの種族を示します。「彼が竜のように私を飲み込んだ」が、ワニの動きを強く示唆しています。新約聖書で、「竜」の単語は黙示録にだけ現われます。ここでヨハネの幻で見られた竜は必ずしも、本物の動物ではありませんでした。なぜなら、我々が存在したことを知っているどんな動物とも異なっていた、多数の生きものが破滅的なビジョンを通じて現われたからです。黙示録の竜は確かに悪魔と結び付けられます。
聖書では、サタンは大蛇（創世記 3：1-15 ；黙示録 20：2）、竜（黙示録 20：2）、ライオン、（第１ペテロ５：８）、犬（詩編22：20）と表されます。いくつかの古代の異教の宗教の神話で、竜はすべての公正な行為に反する、悪の１つのシンボルとして使われました。象徴的表現は、彼らの先祖がかつて所有した精神的な知識（ローマ1：21−25）から疑いもなく引き継がれました。

聖書で言及された熊は、シリアの茶色の熊として現在知られているものです。
この獣は、毛深く毛むくじゃらの生きもので、強くて、気性が荒く、まだ、パレスチナに住んでいます。 それは預言書でバビロン（ダニエル 7：5）を征服して、そしてむさぼり食うであろう メデアと ペルシャの国王の大きい力と悪名高い残酷を象徴するために使われました。
預言の研究者たちは、終わりの時の事象と「ロシアのクマ」と同じように関連を見ます。

参考
■オーロクス (＝aurochs) 《ドイツ地方の森林にいたヨーロッパ家畜牛の先祖; 17 世紀に絶滅》.
■コニー　coney
　a ウサギ, 《特に》アナウサギ《欧州産》; ナキウサギ (pika); ウサギの毛皮.
　b ハイラックス (hyrax)

■ダマン　daman. 岩だぬき
　a シリアハイラックス《パレスティナ･シリア産; イワダヌキ科;
　　 旧約聖書の con(e)y はこれという》.

■熊 はイスラエルには今日では棲息していないとされているそうです。

■「ロシアのクマ」"Russian bear"　は　ロシアのニックネームです。広大かつ強大な国家をかつてのペルシャに見立てたものと思われる。この書の後に「ソ連邦」は崩壊しました。