「聖書の時代と風物」

18章  白く塗られた墓

20章  最後の晩餐の「パンきれ」

第19章  


水と潅漑



いくつかの意味のヘブライ語やさまざまな意味のギリシャ語を英語へ翻訳することによって、同じ英語の単語がしばしば使われます。それによって聖書のオリジナルの言語の重要性と力とのいくらかが失われ、英語の読者から取り去られます。
逆もまた同じです。同じオリジナルの単語が我々の聖書で、いくつかの異なる英語の単語によって翻訳されるかもしれません。

重要な事例が非常によく知られた詩篇1篇にあります。 我々は、悪い仲間と環境から分離して、そして主の律法でいつも瞑想する神の人を知ります。「その人は流れのほとりに植えられた木。ときが巡り来れば実を結ぶ」(3節)。 実際の力と美しさが失われているとはいえ、オリジナルの基本的な意味は、この翻訳では明白です。

私はアラブ語の聖書で初めて詩篇を読んだとき、感銘を受けました。 私の驚きは、アラブのものでは違っていたことです。「木が水の流れのほとりに植えられた」、ではなく、どちらかと言うと,「木が灌漑用水路のほとりに植えられた」(注)となっていたからです。
ヘブライのテキストをチェックするとアラブ語のバージョンが正しいことを示します。 ヘブライ語の言葉は、本当には、「川」を意味しない peleg(ペレグ) です、それはむしろ、「潅漑用水路」です。

ヤングのコンコルダンスで「人工の水路」の言葉の意味は、当然、自然に水の流れている小川ではなく、人工のものです。 このことばはキングジェームズバージョンの旧約聖書では10回出てきます。そのうち9回が「川、rivers」と翻訳されています。
1つは、「ながれ、streams」と翻訳されています。
これは詩篇 46:4(又は46:5 ) にあります。「大河とその流れは、神の都に喜びを与える」。ここで言語は非常に象徴的です。エルサレムを通って流れる川は有りません。ここに描かれた情景が私達を打ちます。主要な川が人口密集地を通して流れ出ています。それから一連の潅漑運河あるいは「小川」が水分配のために枝分かれしていきます。

最初の詩篇でこの情景は、非常に生き生きとしています。
乾燥地帯の周囲の広がりを通って、水が途切れる事なく供給される灌漑用水路があり、この運河に沿って植えられたすべての木は果物もたわわに、青々と繁茂しています。
世界の多くの場所では見慣れた風景ですが、不毛の地域が潅漑されている様子は、常に印象的な光景です。ある場所で川もなく、水の自然な供給も無いときは、隠れている地下水を利用するために、井戸を掘らなければなりません。そこで潅漑という手段で、その地域や果樹園に水を供給できます。

実際的教訓は美しいものです。
この世界のクリスチャンはしばしば自分が乾燥し、渇いた国にいることに気が付きます。彼の環境はしばしば霊的に乾燥しています。けれども彼は彼自身を取り巻く自然の環境には依存していません。彼は神の言葉による頻繁な瞑想によって養われます。ちょうど灌漑用水路が不毛の領土でさえ,その土手に沿って木をはぐくむのとちょうど同じです。神の言葉が,サポートし、リフレッシュして、養うからです。 神に忠実な人は、神の聖なることばから気分転換と養育を引き出します。罪と悪霊に満ちた霊的に絶望的な環境にあっても、多くの実を生産することが可能です。

自然の川と灌漑用水路の間の基本的な相違は何ですか? 多分、灌漑用水路が人工的な手段によって流れ出させておかれるのに対して、川が自然な状況にその給水を頼ると言うことによって、対比は最も良く示されることができます。 川は、しばしば離れた地域の山の多量の雪解け水や、雨水が経路を通って流れてくることでできます。
もし雪が少なかったり、降雨が少なければ、川はだんだんやせ細りやがて完全に乾燥してしまうでしょう。

これに、比べると、灌漑用水路は近代的な場所では、ガソリンあるいは電気のモーターによって電力を供給された何らかの種類のポンプが使われるでしょう。原始的な地域では動物の力が利用されたでしょう。 巨大なダムがしばしば潅漑用に建築され、維持されました。さもなければ特定の地域がむだに失わなれてしまったでしょう。世界のさまざまな地域で、砂漠となるべき広大な土地が、生産的な土地にと代わりました。
神のみことばは神の子たちへの強さの超自然的な供給です。そして神のみことばでいつも瞑想する人は、流れのほとりに植えられた木、ときが巡り来れば実を結びます。

イエス様は、実を結ぶことと、みことばの内にとどまることの本質的な関係をヨハネ15章で弟子たちに指摘しました。詩篇 l:3 で我々はいくつかの明確なレッスンを見ます。神の言葉である「灌漑用水路」に近く生きる人は、彼の魂に絶え間のない供給を見いだします。そこに植えられた木が絶え間の無い水の供給を受けるように、彼は頻繁に新たにされ、成長するという経験をします。彼は「時が来れば実を結ぶ」、実り多いクリスチャンなのです。 彼はもはや乾いて生命がなくなることはありません。「葉もしおれることがない。」、「その人のすることはすべて、繁栄をもたらす。」と、常に彼の生活と行いのうえに神の祝福を経験するでしょう

絶えず神のみことばを読み、瞑想する生活以外に、命を新たにし、実を結ぶことは有り得ません。成長し多くの実を結ぶクリスチャンとなるためには、みことばを読み、みことばに瞑想することが必要です。

この挑戦を受け入れてください! 神のみことばの灌漑用水路の横にあなた自身を植えて、そしてあなたの根から生ける命の水を供給しなければなりません。

神のみことばとの不断の繋がりを通して、喜びに満ちた、有意義なクリスチャンライフを送って下さい。


(注)「水の流れのほとり」(the rivers of water  the streams of water)、
   「灌漑用水路のほとり」(the irrigation ditches )
 

 

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