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第１７章
小さいコインと大騒ぎ
「あるいは、ドラクメ銀貨を十枚持っている女がいて、その一枚を無くしたとすれば、ともし火をつけ、家を掃き、見つけるまで念を入れて捜さないだろうか。そして、見つけたら、友達や近所の女たちを呼び集めて、『無くした銀貨を見つけましたから、一緒に喜んでください』と言うであろう。言っておくが、このように、一人の罪人が悔い改めれば、神の天使たちの間に喜びがある。」（ルカ15：8−10）。
あなたは今までに女性が、なぜおよそ１５セントの価値のごく小さいコインのために、それほど感情的になるだろうかと思ったことがありますか？
何が彼女をそれほど少ししか価値のないもののために頭のてっぺんから足の先まで彼女の家をきれいにさせるでしょうか？
そしてさらにいっそう奇妙なことに、ごく小さい銀貨ひとつを見いだした後、「祝宴」のために隣人と友人たちを一緒に集めるでしょうか？
これはいくぶん釣り合わないように思われませんか？
最も奇妙なことは、イエス様はなぜこのような興奮と祝宴を、罪人が天国において、悔い改めと懴悔を通して神の家族に入って来ることと比較するのでしょうか。
そしてイエス様は、なぜこの失われたコインの寓話を迷える羊が探されて見いだされることと、道に迷った息子が家に帰って来ることについて、同じレベルで同じ目的に使うでしょうか
西洋の文化の中で未経験の心にはどちらかと言うと奇妙な寓話のように思われます。
もし我々の文化で、主婦が１０セント硬貨を失ったなら、彼女は確かにこれ以上がないような大騒ぎをしないでしょう。それではこの寓話の本当の重要性は何ですか？
これを発見するために、我々は、イエス様がイラストとして使用した場面の背後に何があるかを、尋ねなくてはなりません。
正確に理解するために、我々は妻のコインの伝統的な習慣と価値に精通しなければなりません。聖書の地域や若干の地域でまだ久しく続いている慣習があります。女性が結婚するとき、彼女の花婿が彼女に１０個が一連に結ばれた銀貨の結婚の贈り物を与えることです。彼女は、これを最大限に重んじ、そして非常に慎重に守ります。銀貨のひもは、しばしば彼女の頭飾りにされたり、首の周りに飾られたに違いありません。
北アフリカで、聖書の慣例と習慣がまだ一般に観察されます。
特に田舎っぽい女性の間での慣習です。妻は銀か金のコインで構成された宝石類で彼女の富を身につけます。当然、一部でも無くすことは、おおきな災難であると思われるでしょう。
聖書の時代で、もし妻が、彼女の夫が結婚時に与えていたコインの１枚を失ったなら、それは特別に悲惨な出来事となります。このような彼女の側の不注意は、夫から、夫への愛情と敬意の欠如と見なされるでしょう。彼は、彼女がなにか秘密の目的や
、邪悪な目的でコインを使ったと思うかもしれません。
聖地と少なからぬ接点を持っていたある一人の著者が示唆しています。
夫は、見つからない金で彼女が、すでに秘密の恋人に身を許していたと思いかねないのです。そして、彼はこのために彼女と離婚することができました。
これが少しこじつけのように思われますが、私もその可能性を捨てることができません。ユダヤの人々の間では、妻によって身につけられた「結婚のコイン」が非常に神聖であるものと考えられて、担保にしたり、負債の支払いのためには使えませんでした。妻は、やもめ暮らしで貧困の場合に限って、この金を使うことができました。
この背景を念頭に置いて寓話を読むとき、我々は女性の心配と苦悩を理解することができます。もし彼女が失ったコインの１枚を見いだしたとき、祝宴のために友達や近所の女たちを呼び集めでしょう。
これは、主がもちいた寓話に本当の力を与えます。そしてこのイラストが疑いなく、聞き手の心に深い印象をあたえました。
この寓話には、一人の罪人が悔い改め、父の家に入ってくるならば、神の天使たちの間に喜びがあるという、ルカ１５章の二つの寓話と、同じように、重要であることを私たちに知らせます。
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