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第１６章
頭の上の燃える炭火
ローマ１２：２０に、使徒パウロは書きました。「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」
この節の説明では、そのまま与えられているよりも、分かりやすく説明したいと思います。まず最初に、我々はこの提示全部の文脈の言外の意味に気付かなくてはなりません。
１９節では、「愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。この提示は、敵に対して、復讐や裁きに向かっての行為には、クリスチャンは興味を起こさせられるべきではないことを示します。これを心に留めておいてください。
２１節が勧めています、「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。」。これはクリスチャンが、報復あるいは復讐の精神で反応しないはずであることを意味します。
「そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」（２０節）とのパウロの提示に、多数の解釈が与えられました。
最も普通の解釈は、クリスチャンの親切な行為が、彼の敵の悪い行動の記憶を呼び起こし、これが良心の呵責と後悔を刺激するということです。この意味は、いずれかの方法で敵の痛みが、復讐したいという自然な感情を満足させることで、実際の生来の傾向が、外に向かう親切な行動の基礎をなす動機になるということです。私には、この解釈はまだある種の「復讐」を説明するように思われます。
実際、ディーン・ヘンリー・オルフォードが大胆に述べます。「そうすれば、あなたがとっている最も有効な復讐」が、「燃える炭火を彼の頭に積むことになるかのように有効です」と、その言葉を理解します。
私には、この解釈が文脈に適していないばかりか、キリスト教の倫理にも対応していないと考えます。これらの提示を十分に考慮してください。
「愛する人たち、自分で復讐しないで」、「復讐はわたしのすること、わたしが報復すると主は言われる」（１９節）。
もう１つの高名な解説者によって提案された解釈が、使徒の比喩の、金属を融す人たちに言及していることです。精錬する者が最大の熱を得るために、火を金属の下ばかりでなく、その上にも火を積み上げることです。それらの意味は、「悔い改めと友情があなたの敵を和らげます」のはずであると信じます。
換言すれば、彼に暖かさと親切の炭火を積み重ねることによって、あなたは友人を得るでしょう。
私には、これはこじつけに思われます。それは使徒が明らかに単純で容易に理解できるものとして提示した意図に対して、不自然な、解釈になります。
あるひとたちは、「燃える炭火を彼の頭に積む」のことばは、非常に不敬な人であっても、敵から利益を受けることに伴う、あからさまな恥を意味すると信じています。
それは彼にとっては、有罪の宣告のような感覚を残すでしょう。燃える炭火を彼の頭に積むようなクリスチャンの親切の結果と、敵は深い恥ずかしさと後悔を感じるでしょう。この感覚は、良心の呵責でしょう。
しかしそれでもまた、私の判断では、使徒の奨励の本当の意味を説明しません。
ここに私が使徒の提示の最も自然な、そして明白な解釈であると信じるものがあります。聖書の時代から、聖書の地域では、今日でさえ、彼らの住宅で人々の唯一の火は火鉢か粘土の壷で保持されます。ここでは、木炭の炭は連続的に燃やして保持されます。もしこの木炭の火が消えてしまうと、家族のだれかが、
火鉢あるいはポットを持って、隣人の家から火の付いている炭を借りて来なければなりません。これらの国では、水瓶、果物や野菜のかご、火の付いている炭壷を含めて、ほとんどすべての物が、頭の上に乗せて運ばれました。
隣人から新しい炭を受け取った後で、家族の女性のメンバーが、頭に火鉢を持ち上げて、そして家に出発します。もし隣人がたまたま本当に寛大な女性であるなら、彼女は火鉢か壷に、新しい熱い炭を「積み上げる」でしょう。もし彼女がけちであるか、あるいは気が進まないなら、少数のごく小さい燃えさしを与えるかもしれません。
従って私は、使徒パウロがクリスチャンに、敵に食べさせて、飲み物を与えるよう言ったとき、そのことは、食物と暖かさをえるために、空の冷えた火鉢に、火の付いた炭を積み上げることと同じと言っていたと思います。
これは最も素晴らしい寛容と誠実のシンボルでしょう。
使徒の言葉のこの意味は確かに文脈全体に適しています。
すべてがこの解釈を受け入れることはないでしょう。しかし私には、それは最も論理的で、満足がいくように思われます。私はまじめな意見としてあなたにこの解釈を提起します。
すべての人々、友人、敵対者を同様に扱うことのすべてにおいてが、クリスチャンとしての親切の練習となるのです。
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