「聖書の時代と風物」

14章  都市の門

16章  頭の上の燃える炭火
第15章


聖句箱 と衣服の房

 イエス・キリストは偽善的なパリサイ人に対して、「そのすることは、すべて人に見せるためである。聖句の入った小箱を大きくしたり、衣服の房を長くしたりする。宴会では上座、会堂では上席に座ることを好み、また、広場で挨拶されたり、『先生』と呼ばれたりすることを好む。」(マタイ23:5−7)と非難しました。

この告発の最初の2つの罪状は、彼らが聖句箱を大きくし、衣服の房を大きくしたことです。それは我々の国と文化を持つ平均的な異邦人には理解されません。
そして続く文章は、イエス様はパリサイ人を精神的な高慢と個人的な傲慢のかどで告発していたことを明白にします。

しかし「聖句箱 」の正確な意味と「衣服の房」は多くの人々に謎のままです。「聖句箱 」の単語は、ギリシャの単語 「フラクテリオン」からきています。この基本的な動詞形が、「見守ることか、あるいは見張る」です。バビロン捕囚の後の時代になって、聖句箱が朝の祈りや祭礼において男性のユダヤ教徒によって身につけられました。
それらが着用者を害と危険から守ると信じられるようになり、着けていることが護符となり、保護を期待されるようになりました。

聖句箱は小さいものです。手製の革ケースで、およそ1立方インチのサイズか、少し大きいほどです。内部に、聖書の出エジプト記13:1−10; 出エジプト記13:11−16; 申命記 6:4−9;そして 申命記11:13 の4つのメッセージが刻まれたた細片が入れられています。これらの小さい革の箱に、特定の方法で編み束ねられる革ひもか帯ひもが付けられています。これらの箱が着用者の額の目と目の間と、左の腕の心臓に近く結び付けられます。聖句箱の製造と、身につけることは、出エジプト記13:9、16と申命記6:8;11:18の文字通りの解釈で始めました。

若いユダヤの男性たちが初めて聖句箱を身につけるのは、彼らがバルミツバー、13歳の年齢になるときです。その時すべての男性のヘブライの子供が伝統的な式典を体験します、そしてその時からずっと彼は、彼自身の権利と責任に対して思慮深い人となるのです。
イエス様がエルサレムでこの式典を体験したことは十分ありそうです。
それは、この出来事の後であったかもしれないです。「イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。聞いている人は皆、イエスの賢い受け答えに驚いていた。」(ルカ 2:46,47)。

聖句箱を身につける習慣はあるユダヤの人々にとって重要な迷信と結び付けられました。
それは異教徒の祭司や祈とう師が異教の宗教生活の中で用意したさまざまなお守りや護符を身につける位置と同じ所にユダヤ人の生活の中で、聖句の小さい革の箱が、頭と腕に巻き付けられました。
聖句箱を用意したり、革ひもで額と腕に締めつける方法で、非常に小さいミスでも、着用者の心にそれらを価値がないよう思わせます。

私が北アフリカ,に住んでいたとき、私は多くのユダヤ人を見ました。くずれかかったモロッコのバスでの旅行の始めに、宿命論的なイスラム教の運転手が、彼の頭と腕の周りに大急ぎで聖句箱を巻き付けるのを見ました。 これが道路で彼を危険と事故から守るであろうという想定でした。私がしばしば見かけたことは、ユダヤ人が、難しい状況や、危険な状況に直面していることを見いだしたときは、いつでも、最大の注意を払って、重々しい感情で、聖句箱を結び付けるのが普通であったことです。

イエス様は、実際には、パリサイ人が聖句箱を身につけることは、当時は非常に一般的でしたので、非難しなかったことに注意を払ってください。そうではなく聖句箱を引き立たせることに対してでした。それは、外向けのショー以外の目的ではなかったからです。

イエス様はこの偽善を非難しました。「そのすることは、すべて人に見せるためである」(マタイ 23:5)と言いました。
彼らは故意に彼らの聖句箱を大きくして、革ひもの幅を広くしました。それは信心深さと偽りの正義に注意を引くのが目的でした。マタイ23章を読むと、律法学者とパリサイ人は、とても大きな外向けの律法学者と宗教のショー を作り出しました。しかしその心が不正で、神から遠かったことを示します。 イエス様が、彼らの行ないそのものを非難したのはこの理由ででした。

イエス様は同じく無遠慮にも彼らの衣服の房を大きくしたことについてパリサイ人を非難しました。これの正しい理解のために我々は民数記15:38に戻る必要があります。「イスラエルの子供たちに告げてこう言いなさい。代々にわたって、衣服の四隅に房を縫い付け、その房に青いひもを付けさせなさい。」。実際のところ、イエス 様が言及した房飾りは、イエス様の時代には一般的に着られた外套の飾り房でした。今日たいていの国でこれらの衣服は、同様の飾り房がついた祈祷ショールに置き換えられました。彼らの職業に厳格さを強調するために、敬虔なユダヤのパリサイ人は衣服の上に不釣り合いに大きい房をつけていました。これは同じく外見上の信心と敬虔さの素晴らしいショーを示しました 。しかしそれは偽善でした。そしてイエス様はそれを非難しました。イエス様は、偽善を嫌悪しました、そしてそれが律法学者と パリサイ人の間で特に広まっていましたから、彼はそれらに対して強く告発しました。

心の中では肉欲的で不正なままで、このような大きい見せかけに止まっていることをイエス様は非難しました。クリスチャンは、イエス様の強い公然の非難を考慮に入れて、背後の生活に現実のない、単なる外向けの働きを持つことを用心しなくてはなりません。
このような偽善的な働きは、神にただ深い悲しみと、不快を起こすことを私たちに示します。


参考 Phylacteries
【ユダヤ教】 聖句箱 (=tefillin) 《聖句を書いた羊皮紙を納めた 2 つの黒い革の小箱; ユダヤ人の男子が週日の朝の祈りの際に 1 つは額に 1 つは左腕に装着するもので, 律法を忘れないための礼拝具》.

聖句箱 に収められる聖句

 

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