「聖書の時代と風物」

11章  脱穀場

13章  聖書の中のオイル
第12章


陶器師と陶器

聖書には、陶器製造と陶器師に多くの参照と言及があります。
「壷」、「陶器の破片」、「陶器師の器」、「土で作ってある器」、「水差し」、「ボール」、「粘土の器」と「壊れた器」のなどの用語があることを考慮に入れてください。
聖書の時代では、家庭の器の大部分が粘土から作られていました。それらはプロの陶器師の作品で、ロクロで熟練した形に作られ、オーブンか窯で焼かれました。

料理するために使われる器は、器を焼く前に保護的に釉薬で処理されました。
広い、つやが付いていないかめが、水をしまっておくために使われました、そしてそれらの透過性の壁は浸出と外部の蒸発のプロセスを通して暑い天気では水を冷やすことに非常に効果がありました。 興味深いことに、イエス様によって参照された、よく知られた「冷たい水のカップ」(マタイ10:42)は、 暖かい近東で、かめから水が汲まれるとき、慣例的に使われます。

聖書の時代には、たくさんの量の陶器が使用されたことは自然でした、それらは金属や革製の器や用具と比較すると非常に安価でした。粘土は豊富であり、陶器師の費用は比較的小さいものでした。陶器は普遍的に使用されましたが、それは当然壊れやすくて、すぐに破損しました。 種々の器は、その簡素な生活様式の中では陶器は大きいビジネスとして、しばしば取り代えられる必要がありました。 これは聖句の中で、しばしは言及されています。今日、北アフリカの向こう側と近東一帯では、陶器師と陶器商人はすべての地域共同体でまだ健在です。小さいロバが、ほとんどすべてのタイプと大きさの陶器の重い荷に覆われて見えないほどに、面白い光景となります。

陶器師の器を作るための装置は極めて単純でしたが、それにもかかわらず巧妙でした。主な装置は彼のロクロ、あるいはロクロのセットでした。 エレミヤ書の18章に、神は預言者に陶器師の家に、下って行くように命令しました。「彼はろくろを使って仕事をしていた。」(3節)ことに注意を払ってください。 装置には本当に二重に車輪が付けられていたので、wheels(車輪)の言葉はwheelの複数形で使われます。
これらの車輪は、今日使われると同じように、通常木から作られます。それらは通常陶器師自身によって組み立てられた、がっちりして、重い、丸い装置です。
2つの車輪が水平な位置に構成されています。 1つは、垂直の心棒のより低い端の地面の近くの、陶器師の足元に有ります。そして反対側は、作業台あるいはテーブルの水平面より数インチ高い、心棒の一番上に有ります。

陶器師が下の車輪を足で蹴ることによって、上の車輪も回転します。 車輪が回るとき、陶器師は粘土のかたまりをとって、上の車輪の中心に置きます。 それが回るにつれて、てのひらと指で器が形作られていきます。

一般により小さい器の形成のために、親指と右手の最初の2本の指が使われます。 より大きい器を作るには、両方の手が使われます。片方が器の内側を、もう一方が外側に当てられ、陶器師のデザインと技能に応じた器が形作られていきます。

陶器師の手にある粘土が、思いのままに形づくられことが、聖句で神と人間の関係を例証するために使われます。神は創造者であがない主である聖なる陶器師です。そしてひとは、神の熟練した、力強いみ手の技の内にある粘土なのです。(参照エレミヤ18:5-9; ローマ 9:20,21)。
陶器師が作業をするとき、左右にスペースがあるように、器を形成するための車輪は常にテーブルか作業台に取り付けられています。 彼が、作ろうとするポットや器の大きさに応じた量の塊の、必要なこねられた粘土が作業台の上に用意されます。 最終工程をスムーズに仕上げるために、器を形成するために必要な指を濡らすために水を入れた皿が横に用意されます。 ときどき彼は、用意されている粘土が適度な固さを保つように少量水を加えるかもしれません。

彼の横には、できあがった器を一時的に置くテーブルあって、焼くために窯に入れられる前に、乾燥させられます。陶器師の作品が満足できないとき、神のエレミヤへの命令が鮮明になります。「陶工の家に下って行け。そこでわたしの言葉をあなたに聞かせよう。」です(エレミヤ 18:2)。エレミヤは神が命令したように、陶器師の仕事を観察していると、「陶工は粘土で一つの器を作っても、気に入らなければ自分の手で壊し、それを作り直すのであった。」(4節)。これは粘土陶器製造では異常な出来事ではありません。 粘土の中に何かの欠陥が有ることよって、陶器師の指や手の間に粘土が有るうちに、ロクロの上で形が崩れていきます。粘土を準備している間に労働者の注意から漏れたのはごく小さい石であるかもしれません。 時にはそれは木やわらの小さなくずだったりします、あるいは粘土をこねる段階で、固い小さな塊が壊れないまま残ることも有ります。

時々陶器師の指がそれらの頑固な実体に触れて衝撃を与えるとき、彼の器の全体がつぶれます。そして突然に、形成中の美しいポットあるいはジャーが形の無くなった醜い粘土の塊になります! これらの例では陶器師は全部の塊を車輪からブラシで払いのけて、それを捨てるかもしれません。あるいは粘土の塊に少し水を加えて、そして、望ましくない粒を見いだして取り除くために、慎重に指を使って探し出すでしょう。 それから彼は再び車輪をセットして動かし、彼のデザインと目的に従って器を作り直すでしょう。

エレミヤ 18:4 は創造と贖いに関して 大きなレッスンを伝えます。
それは作られ、そこなわれ、再び作られたことです。 人間は神によって作られました。これは創造の直接の行為でした。 人間は罪によってそこなわれました。これは人の頑固な性質によるものでした。聖なる陶器師(神)は人を作り直すことを試みます。これはオリジナルのデザインとパターンによります。(第2コリント 5:17 ; コロサイ 3:10)

陶器の大部分は、砕けやすくて、そして極めて壊れやすいです。 家事のために水を取って来るために井戸に行っている少女が、滑ったり、不注意にそれを下に置くことによって、彼女の器がバラバラに壊れるでしょう。彼女は手ぶらで戻ることになります。 実際、この共通の経験は、伝道の書(コヘレトの言葉)の12章の「泉のほとりに壺は割れ」(6節)の表現の背後の理由です。それは水差しあるいは器にたとえられている人間の命、心のもろさを意味します。ただわずかな一打が、大きい均整のとれたポットやジャーを、直ちに壊れた価値がない、醜い大量の破片に変えてしまうのです。

このシンボルはしばしば聖書で、人と国家の上に神の裁きを記述するために使われます。
「お前は鉄の杖で彼らを打ち、陶工が器を砕くように砕く」(詩篇 2:9)。「万軍の主はこう言われる。陶工の作った物は、一度砕いたなら元に戻すことができない。(エレミヤ19:11)。そして彼は鉄の杖をもって彼らを治める、土の器を打ち砕くように。」(黙示録. 2:27)。

考古発掘物の陶器の破片は壊れた陶器の1つの部分です。
これらは通常陶器師のベンチの周りや陶器店の近くでたくさん見られます。実際、それらは近東のほとんどどこにも見られることができます。 時々、ある陶片は形と大きさから特定の目的に使われることも有ります。特定の大きさと形からまだ有用であるために、使える炭を運んだり、井戸や水たまりから水をすこし、くみ取ったりします。

同じくひしゃくとして使用されます。 イザヤが語るなかに重要なものが有ります。「その崩壊の様は陶器師の壺が砕けるようだ。容赦なく粉砕され暖炉から火を取り、水槽から水をすくう破片も残らないようだ(イザヤ 30:14)。 彼の人々に対する神の裁きは激しいものでした。
そこには有用な陶器の一片として残される物が無いほどでした。

陶片のもう1つの 重要な用途がメモ帳としてでした。 フレッド・H・ライトが書いています。「羊皮紙が高価であった古代に...小作農が陶器製造の破片を・・・ビジネス取引のメモを書くために」と。 多くのこのような小片が考古学者によって近東で掘り出されて、そして古代史に重要で価値あるものとして光を投げかけています。 考古学者はこれらを「オストラコン(文字が刻んである陶器の破片)」と呼んでいます。

ヨブは、「素焼きのかけらで体中をかきむしった。」とあります。(ヨブ記2:8) 預言者は「彼の頭のてっぺんから足の裏までひどい皮膚病」に(7節)に襲われました。傷に触れるのがあまりにも嫌悪を抱かせるような不快な物やかさぶたを、彼は陶片でこすり取りました。
ギデオンの勇敢な兵士たちが敵と対戦するために出て行ったとき、彼らはたいまつとラッパを陶器の壷に入れて運んで行きました。所定の合図で男性たちはそれらのラッパを力強く吹き鳴らし、直ちに壷を打ち壊し、たいまつの明かりが光り輝くようにしました。
周りの暗闇の中の、突然のラッパの音との300の明かりの出現によって、ペリシテ人は混乱状態で逃げさりました。

使徒パウロは我々に思い出させます。クリスチャンは、イエス・キリストの光を持ち、「土の器に納めています」(第2コリント4:7)。

これらの器が壊れていないなら、光は前に輝くことができません。
神は壊れた器を用います。砕かれた心と、キリストの栄光と恵みの光である砕かれた命、最も力強く大いに輝くのに対して、砕かれていない命は、神の栄光で輝くことは出来ません。
 

 

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