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第１０章
収穫
穀物は長い間（今日まで）パレスチナ人の主要な食料の源でした。
そのために、安全に収穫することと穀物の保存は彼らにとっての最大の関心事でした。聖書記者が、しばしば収穫することと、収穫の時期に関係がある象徴的なことばを使ったことは
少しも不思議ではありません。またそういった言葉を使用することで、ひとびとの理解を容易にしました。
「畑を見るがよい。色づいて刈り入れを待っている。」（ヨハネ4:35）。さほど広くない畑の穀物も完全に熟している。家長の最大の関心事は、直ちに穀物の収穫を開始して、貯蔵しておくことです
。さもないと収穫が遅れると破局的な事態となります。
イエス様も深い緊急性の有ることとして語られました。 「畑を見るがよい。色づいて刈り入れを待っている。」（ヨハネ4:35）。
穀物は熟している状態で収穫されなければ、その価値は失われてしまいます。 しばしばこれは、ある宣教の分野では、世界中の霊的な状態と同じような関係です。
「鎌を入れて、」（黙示録14:15 ） 聖書の時代の収穫は簡単な手鎌を使って細心の注意を払って刈り取られていました。
それは近東や北アフリカでは、まだこのように多くの人々によって行われています。この収穫方法では穀物を無くしたり、だめにすることはほとんどありません。
刈り取る人達は、穀物のなっている部分を一握りずつ慎重に下に置きます。
続いて後ろから 他の人たちが、このひと握りずつを集めてより大きい束にして、さらにこれを一束にして縛ります。
一握りずつ刈り取られる鎌の用い方が、実際に人の手によって穀粒を刈り取る様子を暗示するように、キリストにあるひとたちが勝利することもまた、一人ひとり個別の問題です。
たましいは信者によって個人的に、個々にキリストに勝ち取られます。
どんなクリスチャンでもたましいの勝利者、霊的な刈り取り手となることができます。
多数の勝利のたましいを獲得した「伝道師」と呼ばれる名誉を持つ人もいますが、大多数は基本的には個別に救われていきます。
どのように方法によっても、 あるいは誰によって救われたかにかかわらず
、彼らの魂が救い主のもとへ連れてこられ、受け入れられたのは、一人ひとり個別によるのです。「羊飼いは自分の羊の名を呼んで連れ出す。」(ヨハネ10:3)
ある特定の家族関係や宗教的な接点を持っていることによって、救われると言うことはありません。
それぞれの個別の魂が刈り取り人の手によって確かにとらえられて、そして束の中に置かれ、穀物倉に蓄えられるのです
.
ルツは「刈り入れをする農夫たちの後について畑で落ち穂を拾った」（ルツ記2:3）。そこはたまたまエリメレクの一族のボアズが所有する畑地であった。
穀物を刈り取って束にする 刈り取り手である男性の後に、従っていくのは女性の
落ち穂を拾い集める人たちです。落ち穂拾いの仕事は、刈り取り手たちが収穫を早く終えようと急いで働くことで見落とす、貴重な穀物のついた茎や穂先を拾い上げることです。
モアブ人ルツは、彼女の義理の母、ナオミによってボアズの畑で落ち穂拾いをするために送られました。
富んでいる農夫は、貧しい者、不運な者のために無料で落ち穂拾いをすることを許すように決められていました。「収集物で未亡人に冬の間十分なパンを得ることができるように」（Palestinian
Quarterly）と命令されました。 ルツの場合では、ボアズ によって雇われた刈り取り手は彼女におよそ「わざとひと握り」（ルツ記
2:16）を残すよう指示されました。 １日で彼女の「集めた穂を打って取れた大麦は１エファほどにもなった。」（１７節）。
エファは１ブッシェルのおよそ５分の３です。 「勤勉な 落ち穂拾いは、いつもの１日の給料分より多くの穀物を集めることができます」とシリアの後期の住民が書きました。
すべてのクリスチャンが魂の勝利者として落ち穂拾いをする機会があります。「プロの」刈り取り手である伝道者が働いたところでさえ、謙虚な信者が、救い主のために改宗者を得ることが多くあります。時々、収穫の主によって用意されたひと握りの人々が、その働きのために立てられることがあります。
この地域の人々とって、安全に穀物をしまっておくことは、常に特別に重要な問題でした。 穀物は湿気、盗みと動物の襲撃に対して保護されなくてはなりません。
最も隔離された秘密の場所が使われます。
一般に、穀物をしまっておく穴が堅い土中に、堀られます。最上部には比較的小さい開きが付けられます。
地下の部屋は深さは８フィート前後、幅が４または５フィートで最上部は口で直径が２５インチぐらいでしょう。口はそれから板でふさがれて、そしてその場所を隠すために、わらと土壌あるいは芝地で覆われます。
これらの貯蔵所で穀物が１年間、あるいはもっと長く新しい収穫で補充されるまで、安全にしまっておかれることができます 。
預言者エレミヤが、「我々を殺さないでください。小麦、大麦、油、蜜など貴重なものを畑に隠していますから」（エレミヤ41:8）と言ったとき、地下の穀物倉庫を考えていたに違いありません。
時々、貯蔵穴が、家やテントの女性たちの居場所の床の下にありました。またそこでの貯蔵の量は泥棒などにたいして、被害が少しでも少なくなるように配慮されていました。
ここでも同じく霊的なレッスンがあります。
魂が集められて、キリストに連れて来られると、そこから魂が主から引き離されないように、また霊的に破壊される危険から主によって守られます。（ヨブ 11:18 ；詩編
９１：５；１２１：４；ヨハネ 10:28,29 ； IIテモテ。 １：１２；４：１８； Iペテロ.1 ：５）.
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